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形成外科と漢方薬
高知記念病院形成外科・皮膚科 野田 理香 医師
 形成外科は、主に体の表面にある病気(腫瘍やあざ、やけどや潰瘍、傷痕等)の治療を行います。手術をすることが多いのですが、術後の経過の改善の為や手術がむかない場合には漢方薬を飲んでいただく方が良い事もあります。
漢方薬は氣(生命のエネルギー。元気、気力)・血(主に血液、全身を巡って栄養を運ぶ)・水(血液以外の体液、水分の代謝や免疫系などに関わる)のバランスや実証、虚証等その方の体質を見て決定します。
 体力が低下して寝たきりになってできる床ずれには傷を縮める力(氣)を補う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を使うと普通の治療よりも治る期間が短くなります。
 傷痕が盛り上がってかゆみや赤みがひどくなる肥厚性瘢痕(はんこん)にはステロイド様作用のある柴苓湯(さいれいとう)を処方することもあります。
「がん研有明病院で今起きている漢方によるがん治療の奇蹟」という本で有名ながん研有明病院漢方サポート科部長の星野惠津夫先生は多くのがん患者さんでは瘀血(おけつ)、気虚・腎虚という状態がある場合が多いと述べられています。
 瘀血とは血の巡りを悪い状態のことで、目の下のくまや舌の裏の静脈の拡張、体表面の毛細血管の拡張などの所見を認めます。この場合は駆瘀血剤(くおけつざい)と呼ばれる漢方薬を使用します。体質に合わせて桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)等から選びます。
 瘀血が膝下で進行して起きる静脈瘤(りゅう)やかゆみや傷を伴ううっ滞性皮膚炎にも、桂枝茯苓丸がよく効きます。
同じ血液の流れの悪くなる病気でもしもやけには当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)がよいのです。
[略歴] 平成 7年徳島大学医学部医学科卒業  平成19年JA高知病院形成外科・皮膚科医長 平成28年高知記念病院 形成外科・皮膚科