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ある一人の老人の話④
南国中央病院 宮本 寛 医師
 入院よりも在宅生活の方が元気になりやすいことを物語る、ある老人Sさんの話の続きです。
 ベッド上よりも車いすに座る時間が長くなった結果、脳が活性化し、心臓と呼吸が落ち着いてきたSさんに表れた次の変化は食欲でした。入院直後は点滴だけで、やがて鼻から胃に入れたチューブで栄養剤や水を送り込む経管栄養になりました。急性期病棟からリハビリ病棟に移ると、そのチューブは栄養剤や水を注入するとき以外は抜くようになり、喉や首を動かしやすくなり、飲み込みやすくなりましたが、食欲の改善にはつながりませんでした。退院後と異なり、脳と心臓・肺の働きが不十分だからです。退院後に脳が活性化され、意思表示が明確になり、食欲を訴えるようになったSさんはいろんな物を食べ、栄養状態は改善し、入院中にはなかなか治らなかった床擦れも2週間足らずで治りました。
 大勢の入院患者さんのいる病院では、なかなか一人の患者さんには十分に手が回らず、食べたい物も食べられません。退院後は好きな物を食べ、その結果、脳と心肺機能だけでなく、心まで元気になり笑顔も会話も増えました。それを後押しする、入院中とは決定的に異なることは、家族との接触時間です。
1995年3月 高知医科大学医学部医学科卒業 1995年4月 医療法人近森会 近森リハビリテーション病院 2009年4月 医療法人地塩会 南国中央病院