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ある一人の老人の話③
南国中央病院 宮本 寛 医師
 入院よりも在宅生活の方が元気になりやすいことを物語る、ある老人Sさんの話の続きです。
 1940年~1960年代のアメリカで、盛んに行われた寝たきり生活の研究にも通じる話です。
 ベッド上で脚を伸ばして座る長座位よりも、車いすなどで脚を垂らして座る端座位姿勢の方が元気になることSさんの生活で検証されました。
 Sさんは入院中、車いすに座る端座位の時間が1日の中で1時間程度でした。退院後は5~6時間になりました。その違いは足先からの心臓の高さの位置にあります。長座位よりも端座位の方が足と心臓との高さの差が大きいので、足先から血液を呼び戻すために心臓の頑張り方が異なります。
 より心臓が頑張る端座位を取るだけで、心臓のリハビリテーションになっているのです。端座位で頑張っている心臓が疲れたら、横になって心臓を休めるというデイサービス生活を、週に6日続けるだけで、リハビリスタッフがいないにも関わらず徐々に心臓が強くなり、心不全もだんだんと落ち着いて来ました。
 端座位によって重力に逆らって、体を縦にするための筋肉が増えて、それが大脳を活性化した上に、心拍数が減って呼吸も少し楽になったため、声さえ出さなかったSさんが自分の言いたいことをしゃべれるようになってきました。
1995年3月 高知医科大学医学部医学科卒業 1995年4月 医療法人近森会 近森リハビリテーション病院 2009年4月 医療法人地塩会 南国中央病院