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ある一人の老人の話②
南国中央病院 宮本 寛 医師
 入院よりも在宅生活の方が元気になりやすいことを物語る、ある老人Sさんの話の続きです。
 在宅生活が入院生活とは決定的に異なるのは、脳への刺激です。入院中はベッド上にいることがほとんどで、天井を見ながら、することもなく、考えることも少なく、結果として大脳の働きが低下します。腰痛で入院した高齢者が1カ月後には認知症になってしまったということはよくあります。
 Sさんも、入院期間が長引くに従い、話もしなくなり、話し掛けても返事もしなくなりました。目もうつろで、食事量も減りました。初めの頃は訴えていた尿便意も言わなくなり、尿便失禁をしても平気になってしまいました。
 しかし退院後わずか1カ月たたないうちに、それらが改善されました。なぜでしょうか。脳への刺激です。週に6日デイサービスに行きました。24時間のうち、横になっているのは合計18~19時間です。入院中は、22~23時間でした。脳を活性化するポイントのまず1点目は、体を縦にする時間です。それが多いと、重力に逆らって筋肉が収縮する情報が神経を通って脳に達して、物事を考える大脳を活性化するのです。
 ベッド上で脚を伸ばす姿勢よりも椅子に座る姿勢の方がもっと効果的であるのは、次回に説明します。
1995年3月 高知医科大学医学部医学科卒業 1995年4月 医療法人近森会 近森リハビリテーション病院 2009年4月 医療法人地塩会 南国中央病院